Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident


Draft document: Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident
Submitted by 弦巻英市, 新潟県原子力防災研究会
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まず私の、日時が2019-09-18 2:27のコメントにある、「胎児期」を「胎生期(卵体期、胎芽期、胎児期)」に差し替えます。
そして、2019-09-18 2:27のコメントの、補足です。
補足
妊娠可能な女性の放射線被ばく線量の上限を「1mSv /年」とした理由。妊娠可能な女性を対象にした理由は、胎生期(卵体期、胎芽期、胎児期)の人々を放射線被ばくによる加害から護るためである。胎生期(卵体期、胎芽期、胎児期)では、特に卵体期、胎芽期は細胞は未分化、分化が進んでいない。
 そのような分化が進んでいない、未分化な細胞に放射線を浴びせて起きる様々な突然変異を利用する、農業生産に利用する育種・放射線育種が行われている。それには、半径100メートルの屋外照射施設・ガンマフィールドを主な照射設備に用いる。日本には、茨城県常陸大宮市に中央に88.8TBqのコバルト60ガンマ線源をもつガンマフィールドが、1962昭和37年から運用されている。耐黒斑病の性質をもつ「ゴールド二十世紀梨」、イネの「レイメイ」、米アレルギー疾患用の「低アレルゲン米」などの品種が作出されている。
 その研究を概観すると、ガンマ線照射で染色体切断が生じる。1本の二重鎖DNAから成る染色体が切断され、その大部分は放射線照射後まもなくDNA修復で再結合し回復する。その際に切断された二重鎖の左右が逆に・交換して再結合などし、染色体異常が生成している。こうした染色体の異常だけではなくガンマ線照射で遺伝子の突然変異、点突然変異が発生している。
それで起こることを、細胞死と細胞増殖と形態の変化の三点に着目して研究されている。概観すると、被ばく線量が高いと細胞死が、低くなると細胞増殖の異常が、さらに低いと細胞の機能変位を示唆する細胞形態が主になって現れてきている。育種・品種改良には、細胞死といった生存力が低下しない農業栽培に益のある突然変異が用いられる。そして、作物・植物で行われている。多くの作物では、枝や地下茎や匍匐枝・むかごのなどの体細胞分裂で新しい個体をつくる栄養生殖(vegetative reproduction:vegetative propagation)が可能である。したがって、容易にクローンで増殖できる。それで、放射線育種は作物・植物で行われ家畜・哺乳動物では行われない。しかし、細胞レベルでは、基本的に同じことが作物・植物と家畜・哺乳動物で起こる。
細胞の分化が進んでいない、未分化な胎生期(卵体期、胎芽期、胎児期)の細胞では、放射線被ばくで遺伝子の突然変異や染色体異常が生じ、それらによる細胞死や細胞増殖の異常、細胞の形態の変化が作物・植物と同様に起きる。人では受精から2週目までの卵体期、3週目から8週目までの胎芽期での細胞死や細胞増殖の異常は、個体死につながり易い。しかし、女性・母親は胎児の死亡に、気付かないだろう。
胎児期での細胞増殖の異常な増大は、癌に因る周産期死亡【(妊娠満22週以後の死産)+(早期新生児死亡)】になることが予期できる。逆に少ないと「低出生体重児」=「未熟児」になり、発達過程が阻まれ遅れたり、ゆがめられたりして、いろいろ器官に奇形が生ずる懸念がある。未熟児は、体重、身長のような身体発育ばかりでなく、行動面、知的面においても劣ることがある。
細胞形態の変化は細胞の機能や働きの変位が示唆される。変位があると、その細胞が構成する組織や器官の機能、働きに異常が生じることになる。つまり、様々な機能障害や臓器不全を、放射線被ばくで細胞形態の変化を来たした人は、生まれながらに抱えることになる。

このようにして胎児死亡が多くなり、現存被ばく状況の人々、地域社会の出生率が、人口置換水準(人口が増加も減少もしない均衡した状態となる合計特殊出生率の水準;replacement-level fertility)より低くなると、現存被ばく状況の地域社会の人口は維持できなくなる。現存被ばく状況の地域社会の、発ガン者数・率や癌・ガン死亡者数・率が変わらなくても、現存被ばく状況の地域社会が消滅する。
生まれながらに臓器不全や器官機能障がいを抱える人ばかりになるなら、その人々に資源・エネルギーを振り向けケアを十分にできるだろうか。?
 どれ位の放射線被ばく線量なら、地域社会の出生率が幾つになるかを予測できるプロフェッショナルや専門家がいるだろうか。人口置換水準より下がる、小さくなる放射線被ばく線量は幾つか、分かる専門家はいるだろうか。そして、放射能による被曝の防護基準など防護策の決め方を、ICRPは改定案、Publication 109 と111 の改訂案で勧告している。改訂案の6. 結論(227)で「専門家やプロフェッショナルはまた、自分の持っている情報を共有しつつその限界も認識し(透明性)、どのような行動をとるべきか人々と共によく考え決定し(包括性)、その判断を正当化できる(説明責任)ようにすべきである。」、専門家やプロフェッショナルは「人々にリスクを受けいれさせるのではなく、彼らに自分たちの防護と生活の選択について十分な情報提供を受けて決定を下せるようにする」と勧告している。
しかし、現存被ばく状況の地域社会の出生率に関する透明性のある予測情報を、提供できる専門家やプロフェッショナルはいない。だから「十分な情報提供を受け」られないから、人々は新たな「決定を下せるように」ならない。1985年のパリ声明が一般化して社会的に定着している。妊娠可能な女性を含んだ公衆の放射線被ばく線量の上限「1mSv /年」を変える決定は下せない。現存被ばく状況では≤ 年間 10 mSvと上限を上げ、被曝のリスクが高くなる方向の決定は、尚の事、下せない。
だから、妊娠可能な女性の放射線被ばく線量の上限を「1mSv /年」とした。

胎生期(卵体期、胎芽期、胎児期)の人々を、護らなければならない。

以上

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